FEMTO改 AGC実験メモ
by JA1VZV
製作・調整時の検討事項や測定データなどをメモしたものです。
考え違いやミスもあるかとおもいますが何かの参考になればと
公開しました。
PINダイオードAGCの受信入出力特性 .
FEMTO改のAGCをPINダイオード1SV99を使用したATT方式に再改造し
30%変調受信信号レベル(開放端)に対する音声レベル(40dBu入力時0dB
とした相対値)を測定しTA7358AP-2pin制御AGCとの違いを比較する。
(注)本文中のレベル表記dBuは特に注記なき場合は開放端値
●実験回路はこちら .
信号レベル TA7358AP-AGC PINダイオードAGC
6dBu -6.7 dB -5.3 dB
10 -4.4 -3.8
20 -2.3 -2.1
30 -1.3 -1.2
40 0 0
50 +0.2 -0.1
60 0 -0.2
65 +0.5 -0.2
70 +0.3 -0.2
75 +0.7 -0.7
80 -0.3 -0.1
90 -1.7 0
92 -1.4 -未測定-
94 -0.9 -未測定-
96 0 0
98 +0.5 -未測定-
99 +1.7 -0.3
PINダイオードAGCの設定は、40dBu入力で若干Sメーターの指示が下がり
始める様に設定したため、S9以下ではPINダイオードAGCは効いてない。
S9未満の領域ではPINダイオードAGCとTA7358APの2ピン制御によるAGC
の静的な動作状態は大差ないことが読み取れる。 .
S9以上の信号に対してはPINダイオードAGCのほうが出力変動が少ない
ことがわかった。 .
AGC回路変更によるSメーター指示と信号強度の変化 .
AGC回路を変更したことによりSメーター指示、つまり感度特性はどのよ
うに変化したか調べて比較してみた。信号強度は[dBu](開放端表示).
TA7358-AGC PIN-Di-AGC
S unit 信号強度 信号強度
approx1.8 6 6
2 8 8
3 14 18
4 19 20
5 22 24
6 26 27
7 27 31
8 33 35
9 40 40
9+5dB 50 45
9+7 55 −−
9+10 〜99 50
9+20 66
9+20〜 〜99
S約1.8はSN10dBの信号でメーターが振れていることを示し
ている。 .
S9までの領域では、ややPINダイオードAGCタイプの感度が悪いが、
大きな差はない。 .
S9を越える領域では差が出てきた。 .
TA7358APの2pin制御AGCではメーター指示S9+10で飽和しているのに
対して、PINダイオードAGCでは9+20dB以上(目盛無し)の領域
まで飽和せずに指示が上昇する点が大きく変わった。 .
信号強度に応じてスムースに変化する印象を受けた。 .
PINダイオードAGC回路の動作検討 .
TA7358AP制御では、あるAGC電圧から急にRF利得が低下して信号を押
さえこんでしまうためLA1600に加わる信号が一定となり、AGC電圧を
読んでいるSメーターの指示が飽和していたと推定している。 .
一方PINダイオードAGCではAGC電圧変化に対して利得急変点が無いの
で素直に振れるようになったと考えられる。 .
また、SG最大出力までTA7358APの振幅飽和も見られないことから
PINダイオードAGCは、AM受信に必要なレベル範囲にIC入力電圧を制
限できていると判断できる。 .
TA7358APの2pin制御ではバイアス電流を減少させる動作のため、増
幅回路電流減少による二信号特性劣化の懸念があったが、この点も安
心できるようになった。 .
一聴した範囲では,特に動作上の問題はなさそうな印象をうける。 .
欠点としてはPINダイオードの動作電流が、無信号時に約 4mA流れる
ため(本当は10mA流したい)、QRPp機として許容するかどうか悩むと
ころ。 性能とのトレードオフなので、現状で実運用状態の能力を観
察することとした。 .
極強信号の受信状況 .
対岸のスーパーローカル局がAMでオンエアしていたので、この信号を対象
として受信性能の確認を行った。 実際かなり高レベルの信号が入力され
ていたことは間違いないが、測定前にQRTされたのでレベルは不明。 .
この信号に対してAFレベルが下がる現象があり、PINダイオードで絞りきれ
ないケースを体験した。ただ音は出ていて交信可能であったので、やむを
得ないと思われる。 (SG最大までAFレベル低下が無いことは確認済)
弱い信号でも、TA7358APの2pin制御に比べて、受信音が粗い感じに聞こ
えた。 AGCが関与しない小信号域では回路動作上は何の変化も無いは
ずだが、S9以上の信号に変化があり、その印象を引きずってる可能性はあ
る。 音質については、もうすこし聴き込んでみる必要あり。 .
その後AGC変更で音が粗く聞こえた原因はVOLの後にパラに入れたフィルム
コンが外れかかって、高音が出ていたためと判明した。 .
昔からイモとテンプラは得意。 .
近所の山からAM局が出ていて、丁度強いSSB局も出ていたのでAMへのSSB
の被りをチェックした。 .
どちらも信号の強さをSGで置き換えて調べると70dBu相当であった。 .
AMを受信すると、SSB局の信号が完全にモガモガと重なって聞こえた。 .
AM局が送信しない状態ではSSBの音声は聞こえず、混変調と考えられる。 .
我が家で、この強烈な信号で混変調を起こさないのはJST-245くらいだから
FEMTOの構成ではやむを得ないだろう。 .
当面の対策はマニュアルATTの装備くらいだろうか。 .
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