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熱転写法によるプリント基板の試作


 従来プリント基板はインクジェット用OHPシートを使って日光写真方式で作っていましたが、感光剤の変更で作業が難しくなってしまいました。
安いレザープリンタを購入したのを機にJR3TGS局のフジフイルム「画彩」ファイングレードマット仕上げを利用した熱転写法に従ってPK-4エレキーの基板を試作してみました。
詳しい手順はJR3TGS局のホームページを参照してください。

 使用したプリンタはキャノンLBP-3000です。
熱転写法とは相性の悪いメーカー(トナー?)もあるようですが、今回は上手く仕上がりました。
                       
基板周辺部は転写が上手くいかないことがあるということなので、生基板を実際に使用する寸法より少し大きくカットし、銅箔面エッジのバリは落としておきます。
結構汚れて変色もしていますので、ボンスターで磨きます。
傷が付きますが問題ないようです。
プリントアウトした原稿と磨いた基板です。
原稿は部品面からパターンを見た向きになるように作ります。
印刷設定は黒ベタ、濃度は±2目盛変えられるうちの+1濃い方向にしました。
アイロンは1kWのもので、高温(ドライ)に設定します。
原稿を重ねて端にアイロンを当てると原稿が動かなくなります。
次に基板全体にアイロンを当て真上から圧力を掛けます。
普通のアイロン掛けのようにアイロンを動かすと原稿がずれます。
小さいので時間は5分でした。
90x35mmの基板では15分かかりました。
基板が薄い狐色に変わっています。
背景の白色は元の紙ですが、変化が判りますでしょうか?
十分に水に浸した後、濡れタオルに挟んで中温のアイロンで蒸す工程を2回ほど行います。
紙が水を含んで波打ち、剥がし易くなります。
!熱いのでやけどに注意!
この状態で紙の大半は剥がせますが、乾くと真っ白になるほど紙が残っています。。
再度水に浸し、指の腹や濡れた状態で消しゴムを使って残った紙を取り除きます。
乾くと紙残りがよく見えます。
ここでトナーが剥がれてくる場合は、加熱不足かトナーが熱転写に適さない物なので、エッチングしても上手くいきません。
紙を除去した後の基板(拡大)です。
蒸しを少し手抜きしたのでパターンに紙が残っていますが、パターン上の紙は問題ありません。
パターン間の紙はほとんど取れています。
よく見ると"K"の右側のエッチング部中央あたりに紙が若干(白い部分)残っています。
基板が乾いたら周囲の余白にガムテープを貼ってマスクし、エッチングします。

エッチング後の基板(拡大)です。
"K"右側の紙残りのため、肉眼では見えない程度の銅箔がポチッと見えています。
基板使用にあたっては全く問題ありません。
トナーを除去した基板(拡大)です。
銅箔面を磨いた傷がよく見えていますが、ピンホールも見当たらず、トナーの転写には影響なかったことが見て取れます。
所要の寸法(W31.5xH17.5)にカット、穴あけした基板です。
カットは基板両面にカッターで切り込みを入れて折っています。

この後クレンザーで油脂分を落とし、フラックスを塗って完成です。
写真は0.65mmピッチSSOPのパターンにトライしてエッチングまで終わったところですが、きれいに出ました。
全体のサイズは55x75mmで、アイロン加熱は15分。
現在のトナーは良好ですが、トナーを新しくしたら転写性が悪くなったという記事を見ますので、チョッと心配です。

トナーを交換しました 2013.6.1実施                            .

 最近のトナーは細粒化と定着の低温化で、以前のものより進化しているのですが、
プリント板製作には具合がよくありません。                        .
そこで、あえて海外製旧式トナーを使っていそうなリサイクル品を買ってみたとろ、 
従来並みの転写ができました。純正品の約半値ですから願ったりかなったりです。 .
問題としては従来のトナーでは皆無だったトナーによるパターンブリッジが幾つか発
生していることで、トナーにサイズの大きいものが僅かですが混じっているようです。
大きいといっても肉眼では見えないのでエッチング後のブザーチェックは必須です。.


熱転写法を考案された方のホームページは残念ですが閉鎖されているようです。
その後、自作される各位の実験で手法が確立されてきたものと思います。
考案者と工程を公開されている各位に感謝申し上げます。

                                          最終更新 2013.06.17加筆

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