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CB機50MHz改造(2)



 ヤフオクを通じて頒布されている6mQRP機用水晶セットを利用して昭和57年製のオールドCB機(National RJ-370 500mW2ch)を6m化しました。
この機種はなかなかカッコいいですし、技適機ではないので改造しても惜しくない、頒布水晶は2チャンネル分なのでピッタリ。
私の「脳力」の限界で110〜150mWになってしまいましたが・・(^^ゞ

 本改造にあたり、JR3KQF局のお骨折りで重要部品の水晶セットを先
 に入手できたことが改造実行の原動力となりました。
 実作業についてはJR7EQW局の発表された改造法が大きな手がかりと
 なり、また技術的御支援もいただき短期間で目処をつけることがで
 きました。
 両局に感謝申し上げます。

(注)改造内容は回路図が基準(最新)です。
   写真は改造箇所の参考にご利用ください。
   元機の回路が改善等で変更されている場合があります。
   改造は自己責任でお願いします。


分解・組立て

 ケースは裏面上部のネジ1本とバッテリー収容部のネジ3本(うち1本には封印シール内)を外すと裏側ケースが取外せます。
基板はチャンネルセレクタ/電源SW/ボリウム/スケルチのツマミを引き抜いてナットを外し、基板上部左隅のネジを1個取れば分離できます。
ナットの下に樹脂製ワッシャが入っています。
チャンネルセレクタのツマミは硬いので、裏側に糸を回して引っ張る方法が推奨されています。

基板とケースの間には余裕の無い配線がありますので、分離または改造作業中に切らないよう注意してください。
電池ケースへの配線は外しておくと作業しやすくなります。

 再組立てで基板をケースに収める時は、ケースのPTTレバーを少し引いてやると入れ易くなります。
基板は少しずつ入れて行き、スイッチ/ボリウムの出具合やマイク・イヤホンジャックの位置が穴の中心付近に来ているか確認してください。
収まりが悪い時は配線がボリウム回りなどに挟まっていることがあります。
基板を止めネジ1個を忘れずに取り付けてください。

裏ケースをネジ4本で固定、ボリウム/スイッチに樹脂ワッシャを入れてナットを締め、ツマミ4個を取りつければ終了です。


アンテナについて


 このセットはアンテナが破損していましたので、修理ついでに6mバンド用に給電金具からロッドアンテナ先端まで約1450mmになるようにしました。(ケースから出ている外側で実測1405mmでした)
これでローディングコイルが不要になります。

アンテナに給電する金具が上の方にあってロッドアンテナの全長が利用できない構造になっているため、6m用としてはアンテナを外側にずらす必要があります。
そのため下写真のように収納時にアンテナが少し飛び出しています。

本来のロッドアンテナをそのまま使う場合はアンテナの長さが10cm程足りません。
ローディングコイルを改造調整するか、アンテナにゲタを履かせて外側へずらすなどの対策が必要です。

 手持ちのロッドアンテナがセット本来のアンテナより細かったので、元のアンテナの基部パイプを切断してその中に入れ、長さを合わせてハンダ付けしました。
見難いですが矢印のところが接続部分です。


改造箇所の概要

 改造は共振回路と水晶変更が中心ですが、異常発振や送信周波数の誤差対策で送信ドライバTR交換、高調波対策を行いました。
下の写真は改造対象となる主な箇所です。


このセットはチップ部品が使われていますが、大き目のチップ部品ですので回路図を見るようにパターンを追えました。
またリード付部品と両用なので改造がやり易い基板です。

   受信部改造回路図はここをクリック
   送信部改造回路図はここをクリック


局発改造

 まず送受局発のコイルをFCZ7S50+15pFに交換します。
次に水晶の指定回路のピアスCB回路に改造しますが、送受とも水晶のグランド側を発振TRのコレクタにつなぎかえるだけです。
水晶は送受が1つのケースに入った3本足(COM/TX/RX)です。
基板上には水晶をマウントする場所が8箇所ありますのでX3,X4に送信用水晶をマウントすることができます。
下の写真では実験のため送信用水晶周のパターンをカットしてロータリスイッチから電線で接続していますが、パターンを生かして対応受信用水晶の中央のランドからつなげば簡単です。

送信発振のTRを水晶の指定回路に合わせる為2SC1815Yに交換しています。
変更しても特に変化が無かったので、オリジナルのままでも大丈夫だと思います。

調整はコアを回してみると片側では急に発振が停止し、反対側ではゆっくり変化します。
必ずゆっくり変化する側の出力が少し下がった点に設定してください。
ピーク付近では温度や負荷変動の影響で発信しなくなる場合があります。

 送信側(中央丸穴の上の辺り)に少々手間取りましたので、苦闘の跡が・・・


受信部改造

 RFアンプ部の共振回路を2箇所FCZ7S50+15pFに交換してください。
(下写真参照)


RFアンプが発振しやすいですが、調整で感度が取れて発振しない位置が見つかりました。
強烈な発振ではなく、弱い信号にビートが被る症状が出る場合があります。
良好な範囲が狭いですのでじっくり良好な調整ポイントを探してください。
局発回路の調整状態が悪くて、RF調整中に発振が停止して急に静かになる場合がありました。
また必ず両チャンネルを切替て状態を確認してください。


送信部改造

 ドライバQ11(2SC1318)を2SC1906に交換しました。
2SC1318はゲインのある石ですが、発振部に干渉して周波数が低くなる原因の一つであり、負荷側同調回路L6を調整した時の異常発振しない範囲も狭いなど6mには使いにくい石です。
2SC1906(f
T1GHz,電力利得32dB)で送信部の動作もかなり安定しました。

(注)2SC1906はVcbが低いため動作上の余裕がありません。
  必ず
ロッドアンテナを完全に伸ばして使用してください。('09/9/13)

周波数は合わせ切れませんでしたが約-2.5kHzから-1.5kHz付近に改善し、AMですから何とかなる範囲に入ってきました。
受信局発は水晶の定格どおり周波数が合うのに、送信の発振部は指定回路に改造して負荷を外しても何故か約1kHz低く発振していて原因が解明できていません。

ドライバーTRには2SC1815Yも実験しましたが、ゲイン不足で十分な出力が得られなかったので採用しませんでした。

ドライバーコイルも交換しますが、ここだけFCZ7S80+18pFです。
FCZ7S50ではコアが抜けて調整し切れませんので変えています。
またドライバーコイルのケースは元々チャンネルスイッチとつながるように加工されていますので、交換後も確実に接続してください。
基板のアースが細いので結構影響がありますす。
ついでに発振コイルのケースも落としましたが、これも送信部の安定動作に多少は効いた気がします。
接続した様子は部品面側写真で確認できます。

*ドライバとファイナルには常時電源が掛かっています。
 ショートさせないよう注意してください。

オリジナルでは送信終段のベースと直列に抵抗が入っています。
今回は外して10Ωと220pFパラに交換(局発改造写真の右上隅)していますが、元の抵抗にコンデンサだけ追加しても大丈夫です。(容量は調整要)

終段同調回路は容量タップ方式です。
面倒なのでコイルは変更せずにコンデンサだけ変更しています。
下の写真では、中央下端のアンテナ給電金具の下にマイカコン82pFが見えています。
相棒の22pF24pFは、その下敷きになっています。('09/09/11変更)
手持ちの関係ですのでセラコンでも問題ありません。
24pFを30pF程度にすると出力が増えますが、動作が不安定になりました。



 二次高調波が規制値50μW(=-13dBm)以下を越えていましたので、元機の後世代に使われている回路を参考に対策してみました。
(上写真矢印のトロイダルコイルと68pF)
スプリアスは-20dBm以下で規制値はクリアできました。
アースのとり場所により効果が変わります。
写真のように68pFコンデンサをアンテナ給電金具から離すようにしてください。

今回改造ではアンテナを6mバンドに合わせたたので、ローディングコイル(L1)は使いません。 
L1を撤去して直結するか、撤去せずに端子間をジャンパーしてください。

実験していませんが、機種本来のロッドアンテナをそのまま使用する場合はローディングコイルが必要になるかもしれません。

変調回路は元々500mW機のため電力に相当余裕があります。
ささやく程度で十分変調がかかりました。


総合確認

基板単体での測定 (出力、スプリアス、スプリアス写真'09.9.11更新)
 改造後の出力:CH1 150mW
        CH2 112mW (キャリア、電源電圧12.0VDCにて)
 スプリアス :10μW以下
 送信周波数 :(CH1定格50.550MHz) 50.54873MHz 誤差-1.27kHz

        (CH2定格50.600MHz) 50.59847MHz 誤差-1.53kHz
 受信局発誤差:約-200Hz
 受信感度  :S9=24dBuVに設定
        0dBμ30%AM変調信号を基板に直接接続して識別可能
 (ボディエフェクトで感度が変化するため正確な測定は難しいです)
 消費電流  :受信 SQL消音 11.3mA
             開放 18.4〜120mA(ノイズ受信VOL最大)
        送信 CH1 88mA  CH2 80mA (無変調時)
        スタンバイモード待機時14.3mA 受信時24mA 

スプリアスは規制値に入りましたが、ケース内に実装可能な低損失で切れの良いLPFが欲しいところです。

CH1高調波 CH2高調波

 次に仮組して実装状態の動作を確認します。
外部電源使用でも電池の影響を確認するため電池をフル実装し、アンテナをいっぱいに伸ばしてください。
 *電池を含む重量は 790g でした。

受信系はSGの信号かダミーをつないだ送信機からの信号が聞こえればOKですが、ビートが混じったり大きなシャー音だけが聞こえるなどの場合はRFアンプが発振している可能性があるので再調整してください。
今回のセットは再調整の必要もなく動作しています。

送信系は電波を出さなくてはいけないので、確認は変更許可を得た後に行うことになります。
ロッドアンテナのため正確に電力を測定する手段がありません。
モニターで変調音の確認と、スペアナで異常発振が無いか見る程度になります。
スペアナが無い場合はモニター(ゲルマラジオでも可)で送信音声にジュルジュルとかジャー、ビー等の異音やピークでの大きな歪み、回り込み等が無いことを確認してください。
ハム音は若干入るかもしれません。


送信段の再調整
(09.9.19更新)

 送信確認中に、抵抗負荷でピーク調整した後にロッドアンテナに切り替えると、変調ピークで発振する可能性があることが判りました。
変調ピークでの発振は抵抗負荷でも起きていて終段の調整で収まりますが、ロッドアンテナでは調整の最適点がやや異なるため、元の調整状態によって発生する可能性があります。

無変調では問題ありませんが、変調を掛けた時にあるレベルから上では急に歪っぽい音になり、オシロスコープでは変調時の送信波形の音声ピーク付近で発振する様子が見られます。

ピークで発振するようでしたら抵抗負荷で送信部全体を調整後、実際に使用するアンテナを接続して終段の共振回路を再調整してください。


送信機の異常発振防止対策を行いました
(09.12.18更新)

 広い場所で使うには問題ないのですが、アンテナ周囲の環境によって異常発振することがわかりましたので対策を行いました。

方法は終段コイル両端に入っているチップ抵抗とパラに4.7kΩを追加するだけです。
チップ抵抗は終段コイルの足の間(下写真の82pFの下付近)にあります。

対策により出力は多少下がりますが、動作は安定しました。
高調波の増加はありませんでした。

       SGにつけたリード線から漏らした電波を受信中
6m化改造により終段入力が小さくなり、オーバーモジになっていたので変調段のゲインを下げました。

左図PTT SW右列上から3番目がマイクから来ている箇所です。
パターンをカットし3.3kΩを取付け、スイッチ端子からGNDへ4.7kΩを入れています。
地声の大きい方は3.3kΩを大きくしてください。 (09.9.19)


あとがき

さすがに携帯性は良好です。
早速このセットを持って高いところに行きたいところですが、保証認定料が1.5倍に値上がりしたので何か作る度に申請するというのも辛く、他の自作機が完成するまで2ヶ月以上押入れに放っておかれることになりました。
この値上げは無許可送信機の横行に拍車をかけるだけに思えますけどね。

運用していると、どう見てもCB機なので、アマチュア無線家ではなく熱心な合法CBerに声を掛けてもらえます。
合法CBerにはアマチュアの免許も持っている方が少なくないので、合法CBのチャンネルで聞こえないと10m改造かと思われるようです。

その後、このセットを経験にシングルスーパタイプのハンディ機を作ったので、出番が少なくなってしまいました。
さぁ移動しようと思うと、つい小さいさいほうを持ち出してしまいますね。

                             (C) JA1VZV  最終更新日 2010年4月13日


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