1 マイクコネクタのDCで動作するダイナミックマイク専用TXセレクタ 車載無線機のマイクを下げるところに困って、1本のマイクを3台の無線機で共用する切替器を製作しました。 本機はリグのマイク端子から得られるマイク用DCで動作する設計で、当時自家用車に搭載していたTM-401*、TM-521、FT-857DMの3台を接続対象にしています。 幸い無線機3台が全てローインピーダンスのダイナミックマイク仕様なので、マイクアンプやレベル調整機能は省いてマイクの接続先を切替えるだけの機能としました。 *後日マイクアンプを付加したFT-8900に交換しています。 モービル運用を考慮して、接続先は手元のマイクのUP/DNスイッチで切替えられ、どのリグにつながっているかは"ピ""ピピ""ピピピ"とビープ音で知らせます。 (従ってUP/DNキーで周波数やチャンネル操作などはできなくなります) プログラムされたMPUにはLEDで現在の接続先を点灯表示する機能もありますが、今回は使っていません。 ビープ音は出力チャンネル切替え時とPTTを押したときに鳴ります。 制御MPU(ATmega88)の低クロック速度化(128kHz)と、音声切替えにメカリレーではなくフォトMOSリレーを使うことで消費電流を小さくしています。 この結果、電源はリグのマイク端子に出ているDC出力でまかなえる様になりました。 MPUはPTTを押している間と、出力チャンネルを切替える一瞬以外は停止させています。 クロックも止まっていますので受信に被る心配はありません。 (注)この回路はマイク端子の電源を利用するため各リグの制御用グランドが分離されていま せん。 グランド間に電位差があると送信音声にノイズが乗る可能性があります。 グランド間を分離する場合は後半記事(外部電源方式)をご覧ください。 |
回路と動作 制御はプログラムが書き込まれたMPU(ATmega88)で行っています。 本機の電源は各リグのマイク端子DCを5Vにそろえてダイオードで合成して利用しています。 マイク端子のDCが8V系の場合は3端子レギュレータで5Vに下げています。 今回使ったリグのうちTM-401は本来8V系ですが5Vに改造されています。 動作時に最大10mA程度の電流が流れますので、供給能力が少ないか不明のリグでは、外部から電源を別供給したほうが良いでしょう。 マイクのPTT/UP/DWN何れかのボタンを押すとMPUに割り込みが掛かり、パワーダウン状態から復帰して必要な制御を行います。 割込み信号は各入力からダイオード経由で割込みピンを引いています。 UP/DWNプッシュ時は、マイク端子DCが来ていない出力チャンネルをスキップして有効なチャンネルに切替え、チャンネルビープ音を発生した後、パワーダウンモードに戻ります。 この制御を行うためマイク端子DCを検出する回路を備えています。 ビープ音はある程度の大きさの音が欲しかったのでDCで鳴るタイプの電子ブザーを使用しました。 受動型の圧電素子を使う場合はプログラムの変更が必要になります。 PTTプッシュ時はマイク系を出力に接続、PTT出力オン、チャンネルビープ音を発生した後、PTTが解放されるまでマイク接続とPTT出力を維持します。 PTTが開放されるとマイク接続を開放、PTT出力オフの後、パワーダウンモードに戻ります。 パワーダウンモードではクロックも停止しています。 マイク系の切り替えはフォトMOSリレーで行い、制御系とは完全に分離されています。 マイク系はホット・コールドともPTTを押したときだけ出力側に接続され通常は開放されています。 リグ相互の制御GNDは共通ですが、マイク系は相互には接続されておらず、個別のマイク端子にマイクを挿しこんだのと同じ状態を作っています。 図面クリックで拡大します↓ プログラム プログラムはBASCOM-AVR(デモ版)で制作しています。 とりあえず働くレベルですが公開しますので、著作権は放棄しませんが非商用の個人用途に限り自由にご利用ください。 ソースは ここ ←クリック 本プログラムおよび回路の利用により何らかの損害が生じても作者は一切責任は負いませんので、自らの責任においてご利用ください。 2 外部DCで動作する汎用TXセレクタ
回路と動作 このユニットは、PTT制御とマイクDC電圧の検出は全てフォトMOSリレー経由とし、本機GNDとリグのGNDは分離されています。 マイク回路とリグのGNDもトランスを介してフォトMOSリレーで各出力に切り替えていますので、マイクと各リグおよび各リグ間のGNDも分離され、各リグGND間の電位差でハムなどが載りにくい様になっています。 リグの電源が入っているかは、マイクコネクタのDC出力をフォトMOSリレー経由で監視しています。 この回路はリグ1台あたり約2mA消費します。 DC出力がないリグでは該当マイク出力が選択できませんので、擬似的に検出状態を作っておく必要があります。 また、リグによっては電源をオフにしてもマイク端子にDCが出ていますので、この場合はオンオフにかかわらず出力先として選択されます。 本機のマイクはコンデンサ形が使えるよう給電回路を用意してあります。 コンデンサマイクの給電方法にはICOMで使われているマイク信号にDCを重畳しマイクGNDも接地する方式の他、マイクDC端子と制御GND間で給電する方法も可能です。 出力側は接続先ごとにフォトMOSリレーでPTT(負荷40Vmax,100mA程度)を操作します。 アイコムやスタンダードのハンディ機で使われているコンデンサマイク回路を断続してPTT制御を行う方式のリグも、ジャンパ設定により使用できます。 回路図のMic-1がこの方式での接続方法になっていますので参照ください。
[付録] TXセレクタ用チェッカー TXセレクタ用のチェッカーを作りました。 TXセレクタの動作をチェックするには、実機につなぐのが簡単なのですが、リグは車に設置されているので行ったり来たりが面倒です。 テストベンチでもDC5Vと8Vの電源、テスターとオシロスコープまたはレベル計など、それなりの準備が必要なので簡易チェッカーを作ってみました。 乾電池やバッテリーなどDC9〜13.8V系電源で動作します。 主に車載機用に設定された(マイク系とPTTが別の)出力回路に対応します。 マイク回路でPTT操作を行うICOM/STANDAR形の2プラグSPマイク用回路には対応しません。 機能 1 各送信機のマイクコネクタに出ているDC電圧を代理供給 SW-ON時にLED点灯 3系統 2 TXセレクタのPTT-ONをLED点灯で表示 3系統 3 マイク出力信号に応じてLEDが明滅 3系統 [付録] コンデンサマイク用アンプ Kenwood製ダイナミックマイクをコンデンサマイク仕様のFT-8900で使うためのアンプを作りました。 TXセレクタとマイク端子の間に挿入する構造です。 FET1石アンプで、ゲインは負荷によっても変化し、FT-8900に接続した場合のゲインは約8dBです。 回路を省略しているので大きな出力は出せませんがマイクレベルは問題ありません。 ソース抵抗(1kΩ)を小さくするとゲインがアップします。 |