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ノートPCのWSJT-XからIC-7300を遠隔運用する実験

 ノートPCと別室のIC-7300の間を仮想USBでつなぐことで、空調の効いた部屋から
FT8ができないかという実験です。


1 実験システムの構成

 既存のLANにデバイスサーバーを追加してIC-7300を接続するだけです。

 LAN周りは一般的なものですのでデバイスサーバーがポイントになります。
以前のHamLifeの記事に I/Oデータ社の"WN-DS/US-HS"が紹介されていますすが、古い機種で入手できませんでした。
代わりに同時期に発売されていたWifiが無いETG-DS/US"が入手できたので、これで実験することにしました。
"ETG-DS/US-HS"(ハイスピードモデル)が入手できれば転送速度が40%程度早くなるようです。

この機種の前に手持ちのSilex社C-6600GBでも実験しています。
キャノン用プリンタサーバーでデバイスサーバーとしても使えると表記がありましたが、USB Audio CODECが正常に認識できず、使えませんでした。
ただ、この時に入手していたクライアントアプリとサーバー設定アプリが後で役立つことになります。


2 デバイスサーバーの設定

工場出荷状態ではLAN側のIPアドレスはDHCP機能で自動取得しますので、ネットワーク中にDHCPサーバーがあればデバイスサーバー自体はつなぐだけで使える様になります。
固定IPアドレスに変える場合はブラウザでデバイスサーバーのアドレスにアクセスするかセットアップユテリティー(後述)を使って行います。
設定時にIDとパスワードを要求されますが、初期値は"root"、パスワード無しです。


3 PCの設定

 PCにはリモート側のUSBと接続するためのクライアントアプリをインストールする必要がありますが、ETG-DS/US付属のアプリ(クライアント用とデバイスサーバー設定用)がWindows10/11では正常に動作しません。
ネット記事を探したところ、この機種はSilexのOEMなので"SX Virtual Link"(クライアントアプリ)が使えるという情報が見つかりました。
手持ちのC-6600GBの実した際にSilex社のサイトから"SX Virtual Link"の最新版と"Devicw Server setup"(デバイスサーバー設定アプリ)を入手していましたので、これらを使用することにしました。

デバイスサーバーにIC-7300を接続して"SX Virtual Link"を開き、Codecと制御ポートに接続するとこの表示になります。
デバイスマネージャーを見るとUSB Audio CODECとCOM3ポートが認識されています。
PC:サウンドの設定画面です。
スピーカーとマイクをUSB AudioCODECに設定してあります。
PC:音量ミキサーの設定画面です。
送信時に余分な音が入らないようシステム音量は"0"にしてあります。
WSJT-Xの無線機タブでCOMポートをデバイスマネージャーのポート番号に合わせます。
今回の環境ではCOM3になっています。
WSJT-XのオーディオタブでUSB Audio CODECを入出力に設定します。


4 WSJT-XでのリモートFT8運用


 実験ではCATの通信速度を9600bpsにしています。
リモート状態とUSBケーブルで直接つないだ時の操作感は変わりません。

デバイスサーバーをつなぐと受信ノイズが少し上がり、USBアイソレータを入れてみましたが無いよりマシかという程度でした。
外部アンテナにつなげば少なくない外来ノイズに紛れて気にならないレベルです。

"Pwr"スライダーはIC-7300のALCが振れない範囲で必要な送信出力が得られる位置に調整しました。

5 WSVT-XにI/Oエラーが発生

 モニター状態で見ていると周波数表示左横の
が一時になりに戻ることがありました。
WSJT-XのI/Oエラーが一時的に生じている様です。
稀にに戻らずに再設定や再試行を要求するダイアログが出て動作が止まることもあります。

"SX Virtual Link"は接続状態を維持しているので、転送遅れなどで応答がすぐに得られないことがあるのかもしれません。
停止に至る症状は数時間見ていても現れないこともありますし、PCで他のアプリを使っていると出やすくなるようです。

止まっても"再試行"をワンクリックすれば復旧できます。
送信中にエラーになるかは長時間運用してないので未確認です。

問題は残ってますが家の中の何処からでもでFT8が使えるようになったのは有難いことです。

 I/Oエラー改善?

 CATの
通信速度を38400bps*にしたところPCで他の作業をしていてもエラーが出なくなりました。
完全に解消できたのかは分かりませんが良い傾向です。

 変更した箇所は
 ・WSJT-X  CAT通信速度
 ・IC-7300 CI-V通信速度
 ・VSPE   IC-7300接続ポートの通信速度
 ・PCのシリアルポート 通信速度

*IC-7300とリンクしているTurboハムログの通信速度が38400bpsまでなので、この速度に設定しています。


6 実験に使った機材など

  PC  WIndows11 CPU:i5-12450H(2GHz) RAM:16GB
     デバイスサーバー用クライアントアプリ "SX Virtual Link" v5.2.1
     WSJT-X v3.0.0 Improved plus Edition
     Icom用ドライバー v1.20
  Wifi  IEEE 802.11ax
  LAN  1000Base-T
  デバイスサーバー I/Oデータ ETG-DS/US
  TRX  IC-7300M (ファームウエアV1.42) +ダミーロード


7 遠隔操作の申請手続きについて調べました

 今回の実験システムは自宅内のLANを利用していますので「一の構内で行われるアマチュア局の無線設備の遠隔操作の特例」により申請不要で使用できるとのことです。
送信機の遠隔運用について下記に説明がありました。

出典:総務省ホームページ
https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/confirmation/remote_control/index.htm

                                 (C)JA1VZV 2025.10


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